やはり、「速さ」の香港。- レストランで、あれよあれよの「速さ」にふれて。
先日、ここ香港の大衆的なレストランで、遅めのランチをとっていたところ、なにやら店内が急に混みだして、ふりかえって見ると、普段見られないような行列が店内にできていた。
普段、叉焼(チャーシュー)などをテイクアウトするために、ときおり人が店内にやってきて、カウンターごしに好みを伝えたりするのを見ることはあるのだけれど、こんなに多くの人が店内に行列をなして並んでいるのを見るのははじめてであった。
ふと思ったのは、ツアーグループのような集団がやってきたのだろうか、ということであった。でも、広東語を話しているし、「ツアー」ではない。
そんなことを思いながら目をやると、行列は、すでに、ぼくが座って食事をしていたテーブルの横までできている。
食事をすすめながら(叉焼飯を食べていたのだと記憶している)、次第に状況がつかめてくる。どうやら、16時に、テイクアウト用の特別メニュー(鴨の料理)が売り出される、ということのようだ。値段も手頃である。
その特別メニューを目当てに、16時直前に、急に人が並びはじめたのである。20人から30人くらいだろうか。
店員さんたちはいつもどおりに対応しているようだけれど、並んでいる人たちはなにやら要領がうまくつかめないままに、店員さんや前後の人たちと言葉を交わしている。
それから、行列が急に大移動をはじめる。どうやら、整理券をもらってから、レジに行き支払いをすませ、それから戻ってきて品を受け取る、という手順のようだ。並んでいる人たちは少し不満げにつぶやきながら、大移動をしている。
そんな様子に気を取られ、これはちょっと大変だぞと思いながら、ぼくは食事をつづけたのであった。
ところが、そんな状況は、あれよあれよと、あっというまに消え去ってしまった。10分くらいの出来事だったろうか。食事を終えたころには、あの行列はあとかたもなく消え去っていたのである。だから、食事を終えて、レジに行ったときには、だれもレジに並んでいなかったのである。
「いや~、すごいなぁ」と、ぼくは感心してしまう。
行列から聞こえた不満のつぶやきはどこへやら。この速さでは不満はいっきに消えただろう、という速さである。
支払いを終えると、年配の方がレジにやってきて、あの特別メニューを注文したいという。どうやら、特別メニュー目当てにやってこられたようだ。しかし、店員さんは「売り切れよ」と伝えている。
この段階でわかったことだけれど、特別メニューは限定量での販売である。16時前に来て並ばないと、購入できないほどの人気のようだ。
こうして、帰り際になって、ぼくは「あの行列」の全貌を理解したのであった。
そして、いつものことでもあるのだけれど、やはり、香港の「速さ」に圧倒されてしまう。
もちろん、なんでも速ければいいというものでもない。けれど、この「速さ」には、おどろかされるし、圧倒されるし、また、<香港なるもの>がそこにあるのである。