ひきだしに、海外のコインや紙幣。- 「寄付」で、新たに息を吹き込む。 / by Jun Nakajima

家のひきだしの奥のほうにたまっていきやすいものに、海外のコインや紙幣がある。ぼくのひきだしにも、オセアニアからヨーロッパ、アフリカ、それからもちろんアジアの国々まで、さまざまな国々のコインや紙幣が「埋もれている」のであった。

そもそも「埋もれる」ことを望んで、コインや紙幣をキープしていたわけでは、もちろんない。そのときそのときに「思い」があって、ひきだしにいれたわけである。

あるときは、旅の終わりに、素敵な体験を胸に「またぜったい来よう」と思ったのである。つまり、「また使うから」という思いで、ひきだしに入れたのである。

あるときは、やはり「思い出」として、手放せなかったこともある。

また、あるときは、単純にコインが残ってしまい、他の国々でどうすることもできなくて(もちろん捨てるわけにはいかない、と思い)、そのままになってしまったこともある。

そんないろいろな「思い」が、コインと紙幣にこめられて、ひきだしに眠りつづけてきたわけである。


使い切れなかったコインや紙幣は、たとえば、帰りの空港や飛行機(キャセイ航空など)のなかで寄付することができたりする。でも、「どこかで使うかもしれない」と思って財布に残したり、あるいは帰路忙しくしているうちに、気がつけば家のひきだしにしまわれているのである。

ぼくのひきだしには、20年分くらいの、さまざまなコインや紙幣があったわけで、ここまでたまってしまうと、これらのコインと紙幣のあつかいにこまってしまう。なお、コインや小さい額の紙幣は街の両替所ではとりあつかってくれないから、両替もできない。

ネット検索ではあまりいい情報がなく、ぼくの記憶の片隅に、香港国際空港のどこかに「寄付用のボックス」があったのだけれど確かではない。他のひとたちにも尋ねてみたりして、空港に「寄付用のボックス」があるという、ぼくの記憶とマッチする応答もあった。

そんなこんなしているうちに、ユニセフ(UNICEF)が、直接に寄付を受け付けているのをネットで見つけたのであった。そもそもキャセイ航空の機内でのコイン寄付は、ユニセフへの寄付である。海外のコインの寄付の手段としてキャセイ航空の機内がすすめられていることに加え、直接にも受け付けているとのことである。

それで、さっそくユニセフに足を運び、結構な重さのコインと紙幣を手渡したのであった。こうして、家に「埋もれていた」海外のコインや紙幣は、生き返ったのである。

それにしても、家に「埋もれていた」海外のコインや紙幣には、いろいろなことを考えさせられたのであった。


他方で、以前、NGO職員をしていたころ、西アフリカのシエラレオネでユニセフと仕事をしたことも思い出す。これらのコインや紙幣が「支援」の一部として使われるといいなぁと思う。