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Letting Go

手放す

🤳 by Jun Nakajima

Letting go is like the sudden cessation of an inner pressure or the dropping of a weight.
— David R. Hawkins "Letting Go: The Pathway of Surrender"

Letting Go


Letting Go。手放す。


ぼくがこのテーマに正面から向き合うようになったのは、2018年、香港の家の片づけをしはじめた頃からです。それまでもこのテーマはぼくの中にあったのですが、このテーマがいよいよぼくの目の前につきだされて、正面から向き合うようになったのがここ数年のことです。そして、具体的にこのテーマが動きだしたのが、「片づけ」ということにおいてでした。とりわけ、モノを手放すこと。このシンプルな実践のなかに、じぶんの生を「transform」させてゆく力のひとつを、ぼくは確かにつかんでいきました。じぶんの周りの「モノ」のなかに、じぶんの内面が映しだされているのを感じました。だから、「モノ」から解き放たれること、それはぼくの内面を解き放つことでもありました。

他のテーマでもそうですが、とりわけ「Letting Go」においては、先達たちがぼくを導いてくれました。情報化・消費化社会で特徴づけられる「現代」において、「モノ」に向き合うひとたちは、いっそう増えているようです。「断捨離」のやましたひでこ氏、コンマリさんはもちろんのこと、中谷彰宏氏、さらにさまざまなミニマリストの方々などから、片づけの方法と共に、じぶんの内面の変容についても、多くのことを学びました。さらに、「Letting Go」というテーマにおけるぼくのバイブルは、精神科医David R. Hawkins氏(1927-2012)の著書『Letting Go - The Pathway of Surrender』です。このような先達たちに導かれながら、ぼくも、じぶんの外面と内面の「片づけ」をすすめてゆきました。じぶんの外の世界においては「ミニマリスト」の域にまで到達しましたが、いまでもなお、内面の世界において、ぼくは「Letting Go」を実践し続けています。内面の世界は、まるでたまねぎのように、一枚むくと、つぎのレイヤーがあり、それをむくとまたつぎのレイヤーが現れる。そのようなところで、ぼくは一歩一歩、じぶんの道をすすんでいます。

そもそも、これまでの人生を振り返ってみると、ぼくはあまりモノを保持しておくような生活をしてきませんでした。西アフリカのシエラレオネや東ティモールに赴任したときには、基本的に、(ニュージーランドに住んでいたときに購入した)登山用の大きなバックパックのみで移動しました。でも、香港に住んでいるあいだに、結婚して、仕事に専念する生活のなかで、いろいろとモノが増えていきました。また、日本からもってきたぼくの所有物(写真やハガキや書類等)も、依然として片付かないままに、部屋の片隅に積まれていました。心に余裕がなく片づける気持ちもわかず、デバイスや本たちも一向に増えてゆくばかりでした。

そののち、「生き方」をラディカルに変えたいという切実な思いを胸に、妻とぼくは、とことん片づけをしようと、先達たちの方法に触発されながら、少しづつですが、片づけをすすめていきました。最初から計画していたわけではなかったのですが、片づけを重ねていくなかで、結果として(あくまでも結果として)、「ミニマリスト」となっていました。妻とぼくそれぞれ、スーツケースと数個のカバンにすべての「モノ」が収まることになったわけです。生きてきたなかで、いろいろと遠回りをして、またこの地点に戻ってきたようにもおもいます。「それでもまだミニマリストではない」と言われる方もいるかもしれまん。けれども、ぼくにとっては「どれだけミニマリストであるか」は課題ではなく、あくまでもじぶんにとって、じぶんの「基準」にしたがって<ミニマリスト>であるかが大切だとおもっています。「ミニマリスト」という呼称にこだわっているわけでもありません。ただ、この世界で生きてゆくうえで、じぶんと他者とをつなぐ橋としての言葉として(この言葉を契機に他者とつながることを望んで)、ぼくは「ミニマリスト」という言葉を使っています。

大切なことは、「モノを減らす」ということだけでなく(これはこれで心身が解き放たれる体験なのですが)、「モノ」の入手や所有や保持などの行為・状態にたくされている、じぶんの感情やかんがえ方に気づき、そして「手放すこと」。じぶんのまわりの「モノ」には、おもっている以上に、じぶんの感情やかんがえ方や行動の癖などが付着しています。それらをまずは、「気づき」として前景化することで、「手放すこと」へとつなげていきます。



「Letting Go」というテーマで追究してきたこと・追究してゆくことをメモ風(体系的ではなく、あくまでもメモ風)に記述しておきます。

  • 「Letting Go」さらに「Surrender」ということの本質とその方法。「surrender」ということ。「感情」を手放すこと。David R. Hawkins『Letting Go』を読み解く。

  • 「片づけ・整理整頓」の実践的方法(断捨離、コンマリメソッド、ミニマリストなど)。

  • 「片づけ・整理整頓」による内面的な「気づき」。「感情」の世界を描き出し、気づき、手放すこと。

  • 「情報化・消費化社会としての現代」と「Letting Go」。『現代社会の理論』(見田宗の射程と可能性。「情報」と「消費」という概念の純化と深化。

  • 「組織」における「片づけ」。

  • その他


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「Letting Go」というトピックへと、深く深くわけいってゆくための本です。
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